雑記Rogue

書くたび言うことが変わる不思議ダンジョン

この感想はどこから出てきたんだっけ?問題

先日の「イケアのたんすが北米でリコールになった」という件について、こちらでもう少し周辺の状況も書かれた記事が掲載されていた。

www.sankeibiz.jp

 

最初、さらっと読み終わった後の自分の感想は、「イケアのたんす、なんかヤバそう。国内メーカーは安全対策してそう。」というものだった。

この感想がどこから引き出されたのだろうと思って、改めて記事を読み返してみた。

 

 

まず『6人死亡イケアのたんす 「日本では回収せず」に広がる不安』という大見出しに関して、記事中でどのように書かれていたのか確認してみる。

この文章は、「イケアが日本で該当の家具を回収しないというコメントを発したことにより、そのような製品が出回るのは不安だという声が上がっている」というように読めた。

主語はないので、誰に不安が広がっているかは、この時点では不明。改めてそれを示す本文中の記述を探してみる。

 

最初のセクションに「国内の消費者にも不安が広がっている」と書かれているが、この部分は記事全体のダイジェスト部分なので、一旦スルー。

ここで補足されている主語通りであれば、不安に感じているのは国内の消費者ということになる。

 

これに関する記述は、一番最後のセクションにあった。

イケアの対応について公益社団法人の方がコメントをしており、その中で「日本の消費者も不安になっている」と語っていた。この団体に消費者の声が届いているということだろうか。

「不安になっている」という表現と「不安が広がっている」という表現が同等なのかはわからないが、個人的な印象だと「広がっている」には時間軸が加わっているように感じた。少なくとも主語は「日本の消費者」だった。

 

 

続いて、最初のセクションで語られていた「国内メーカーには安全基準を見直す動きも出ている」という部分。この文章の流れだと、この北米でのリコールを機に、国内メーカーが着々と見直し始めた というように読めるように思うが・・・。

 

家具の安全基準に関する記述は数カ所ある。

まず「メーカーが第三者機関で審査を受ける」というケースがあるらしい。オフィス家具などだとJIS。子供用たんすだとSGマークというもの。

ただし、SGマークに関しては「内容が古く、現在はほとんど適用されていない」のだそうだ。適用されていない理由が内容が古いためなのかどうかは、明確ではない。少なくとも基準が古くて現状に即したアップデートをされていないということなのだろう。

ちなみに、ここのセクションの見出しは「任意の基準も適応難しく…」となっているが、中で書かれているのは「普及していない」「ほとんど適用されていない」などであって、なぜ「適応が難しい」のかは不明だし、「難しい」のかどうかもわからない。

 

読み進めると、ニトリでの事例が挙げてある。

ニトリでは元々、転倒防止用の固定金具を付属しているらしい。(なお国内なのか北米なのかは不明だが、イケアも説明書には留め具で固定するように記載されている との記述がある。付属しているかどうかは記述がない。)

ただし、イケアのリコール対象の内容を踏まえて、自社基準の厳格化も検討している と書かれていた。

 

さらに大塚家具の事例。こちらは独自基準に従い、品質確認をしていると書かれていた。今回の件を踏まえた対応の話ではなく、我々はこういう基準でやっていますよということらしい。

 

「国内メーカーには〜出ている」で書かれていた国内メーカーとは、取材したニトリのことを指すようだ。ニトリは国内メーカーなので、間違ってはない。そして実際に、ニトリはこの件を受けて対策を始めているようだ。

 

 

最後に、イケアの製品がヤバイのか?について。

今回は、イケアのリコールのきっかけになった「北米での子供の死亡事故」について触れられている。ただし、これら北米の事故でイケアが安全対策としてうたっていた「留め具の使用」が行われていたかどうかは不明。

国内で過去に起きたたんすに関する事故に関しては、一切記載がないので、どれくらいの件数が起きているのかわからない。

 

 また、国内メーカーが行っているという自社基準が、北米の基準と比較してどうなのかといった記述はない。そのため、自社の基準を見直すことで安全性がどの程度増すのかまではわからない。(形状の見直しや重心を下げる工夫により安全性が増すように感じるが、数値的な判定などはないため。)

 記事を通して、国内ではたんすの安全基準が自社判断になってるということを指摘しているが、そういう状況が危険なのかどうかもわからない。現在流通している国内メーカーの製品が、イケアの製品と比較して安全なのか危険なのかも判断してはいない。

わかるのは、唯一あったように見えるSGマークという安全基準が、今はほとんど利用されていないらしいということだ。

 

せっかく記事の取材を通して、国内のたんすに関する安全基準が結構曖昧になっているということを見つけ出し、最初のまとめにも含めているにもかかわらず、なぜ明確に見出しにその意味を含めなかったのだろうか。

大見出し自体も、これから記事を読む人に「北米でリコールされる商品が規制されない日本の安全基準に対して、不安に思ってる人が増えていってる」というふうに読み取って欲しかったのだろうか。

 

 

改めて読み返してみると、イケアの家具がやばい とか、日本の基準は甘い! とかではなく、日本の家具はメーカーの自主的な基準で成り立っていて、よくわからんね という感想になった。

 

なんか、思ってたのと似てなくもないけど、ちょっと違うな。

 

 

アイディールブレーン 家具・家電転倒防止用品 ガムロック NewBB IB-14 白

アイディールブレーン 家具・家電転倒防止用品 ガムロック NewBB IB-14 白

 

 

内容がよくわからない報道機関の記事にちょいちょい出くわす問題

こういう記事が掲載されてた。

www.itmedia.co.jp

 

読んでみて困惑した。自分のことを棚に上げて言うけれど、内容がぜんぜんわからない。あまりに理解できなかったので、自分のために、何がわからないのかを書き出してみた。

 

 

まず、記事の大見出しと内容があっていないように感じる。 

大見出しで「関係者を驚かせた手口とは」と書いているが、肝心の手口に関しては特に書かれていない。

生徒のアカウントを「何らかの方法で得た」という、これのことを指してるのか?学校の近くで無線LANにつないだことを言ってるのか?

そのあとの段落では、「生徒の成績も"だだ漏れ"」とい書いている。だだ漏れっていうくらいだから、手口っていうほどのものはありませんでしたっていう意味なのか?

これが、この記事でもったいぶって書こうとした主題なのか?

ちなみに記事中では、関係者=教育委委員会・文科省が衝撃を受けたのは、「少年による侵入」に対してだと書いてある。

 

意図通りなのかどうかはおいといて、結果として見出しで釣ってしまっている。

 

 

また、記事の最初で「学校側の管理の甘さ」と書いているが、管理とは何の管理なのかが明確でない。

SEI-Netシステムの管理なのか、校内の無線LANの管理なのか、この記者が想定した「学校側の管理」の内容は、読み進めても明確になっていない。

別の記事で「管理者しか閲覧できないデータのファイルが、生徒でログインした時に触れる場所に配置されていた」というような記述も見かけたので、これのことを指してるのかもしれない。だとしてもそれは「学校側」ではなく「SEI-Net」の作りの問題だろう。

生徒のアカウントが本人以外にも渡ってしまったことを課題と考えているのであれば、生徒に対する指導・教育という意味での管理なのだろう。それであれば「管理」よりも適切な単語がありそうだ。

 

 

同じく記事の最初で、「文科省などが対応を呼びかけている」と書いているが、記事内で文科省が主語の文章は「環境整備の必要性を指摘」のみ。古谷宏県教育長という方のコメントも「窓口を設置して相談に対応したい」と言っているだけで、対応を呼びかけてはいないようだ。「など」って誰だ?

 

 

「全国の先駆けたシステムをやすやす突破」という見出しは、「全国に〜」というべきところを、本文中にある「全国の先駆けになっていた」という言い回しにひきづられた誤字のようだ。

しかし、導入したSEI-Netは県独自のシステムであり、「ICT化」が全国に先立ってるとのことなので、それでもやはり見出しとしておかしい。

 

 

文科省が推進「教育のIT化」……対応に甘さ」という見出しについても、この記者はどの組織の対応を甘いと指摘しているのかわからない。

締めの言葉も「一層の対応が求められそうだ。」と言っているが、誰が誰に対して対応を求めると予想しているのか明確にはしてない。

 

 

細かなところではITとICTという単語をごちゃ混ぜに使っているなど、総じて言葉に対する気遣いが若干薄いように感じる。

 

 

こんな感じで、言葉や単語が指している内容が不明瞭なのだ。登場人物が何をしたのか、未整理なのだ。それなのに、何かを主張するような、刺激的な見出しがつけてある。こういった意味のよくわからない文章で構成された記事を、最近ちょいちょい目にする。

 

 

記事の一読者として、好き勝手に言わせてもらうと

これをどうにかするには、まずは記者自身がその対象に興味を持つことではないだろうか。自分が興味を持つことで、少なくとも文章としてのつじつまの合わないところに気付ける。今は「よくわからないけど、多分こういうことでしょ」というスタンスで書かれているような気がしてならない。

興味がわけば、次に理解が来ると思う。理解できれば、どう書くことで読者にわかりやすく伝えることができるのかという余裕が出てくるように思う。

なんにでも興味を持つというのはとても難しいことではあるが、せめて記事を書く瞬間だけでもなんとか頑張っていただけると、とっても嬉しい。

 

 

ひょっとして「直接書くことができないので、どうか、どうか察してください…」というダイイング・メッセージ的なやつで、わざとわかりにくくなってるのか!?

 

 

描きながら考える力 ~The Doodle Revolution~

描きながら考える力 ~The Doodle Revolution~

 

 

 

興味はないのに興味がある話

佐村河内氏の「あの出来事」以降を描いた「FAKE」という映画を見てきた。

映画『FAKE』公式サイト|監督:森達也/出演:佐村河内守

 

最初の感想は、「単価がやたら高い会社は、打ち合わせにやってきた半分の人がやっぱり一言もしゃべらないな」で、その次の感想は、「テレビ局や週刊誌のやってることは、伝統的に”炎上”だなぁ」というものだった。

 

FAKEに登場するテレビ局・週刊誌それぞれの番組や紙面で取り上げられた関心事は、「嘘をついていたのか、ついてなかったのか」「耳が聞こえるのか、聞こえないのか」のように、白黒はっきりさせようとすることのように思えた。

これは、事情を知らない人にとってはわかりやすそうだ。「細かいことはいいから、どっち?!早く教えてくれ!」という気持ちはわかる。いちいち事情を気にしてるほど暇じゃあない。

 

 

そういえば最近、こういう記事が出ていた。

www.gizmodo.jp

多くの人は、見出しだけ見て中身は読んでない。何の話かよく知らないけど、誰かに言いたい。

自分がコメントできるキーワードに反応し、何が起きてるのかではなく、そのキーワードを聞いて連想したことを言いたいらしい。

 

いろんな人が暮らしている世の中において、いろんな人の共通項になり得るのは法やモラルだろう。そしてその分野で境界線上にあることは、それぞれOKかNGか言いやすいネタだ。その出来事の本質には興味がない。でも、これについて思い出したことをあーだこーだ言いたいし、みんながなんて言うのかにも興味がある。そういうネタなのだ。

 

改めて、テレビや週刊誌で扱っていることを思い出してみる。もちろん「真実※をあきらかにするのだ!」という建前に沿ったものもあるのだろう。(※真実って何?というのはあるとして)

しかし、よく目にするのはやはり「法やモラルに関する、自分たちがOKかNGか言いやすいネタ」だろう。

多くの人の共通項だからこそ、視聴率をあげることが期待できるし、部数を多く発行することができる。そうでなければ、赤字になって企業が継続できない。

 

SNSなどでの炎上と、テレビや週刊誌などがやっていることは、根本的に同じことだ。だからこそ問題行動を起こした学生のいる学校に電凸するし、病気の家族を抱える人のところにも当人がやめてくれと言っても突撃する。

 

これを止めるには、何も知ることなく「え?○○なんじゃないの?アホらし。」と言うよりも、問題になっている本質を理解するための労力の方が小さくなるしかないのじゃないかと、ちょっと悲観してみる。

 

 

FAKEを見た後、勢いに乗ってオウム真理教の一連の騒動を記録した、同じ森監督の『A』という映画を見た。それで色々と思いを強くしたり、自分を戒めたり。

A [DVD]

A [DVD]

 

 

自分は「何ユーザー」なのか問題

Evernoteの価格プラン改定が発表されてた。

blog.evernote.com

有料プランの値上げもあるけれど、自分の見える範囲での一番の関心事は、無料プランでの『同期できる端末は2台まで』という点のようにみえる。

無料でEvernoteを使っていて、家と会社とスマホとっていう3台インストールしている人だったりすると、これはもうそこそこに死活問題。どれのログアウトするのか、あるいは他のサービスに移行するのか などなど。

 

そうなのだ。この時点で、「そしたら今度から月額360円かー。」と考える人の割合は、多くないように思うのだ。

多くの人にとってのEvernote、もっというとフリーミアムなサービスへの感覚なんではないだろうか。

今回「うはぁ、Evernote許すまじ!」などと思ってしまうのは『無料だから使うユーザー』だからで、『有料になったら使わないユーザー』ということなんだろう。

 

そもそも、フリーミアムと呼ばれるモデルが、『無料でたくさんのユーザーを集めて、有料の機能を一部のユーザーが使う』ということなので、ほとんどの人が無料ユーザーというのは当然ではある。

そして、最初から『同期できる端末は2台まで』というので立ち上げておけば、ここにきてマイナス評価みたいなことにならずに済んだかも?というのもある。

 

登場してきた時はすげぇと思ったフリーミアムなやり方が、『最終兵器なビジネスモデル』ってわけでもなかったのかなぁ〜という気がする。

無料で始めたユーザーの満足度を上げるにはもっと機能をアップするしかないし、無料とはいえ大量の人を集めるには『ここまでやる?!』みたいな機能を最初に用意する必要もあるからだ。

 

世界の価値観が変わるのが先か、世界の景気がものすごく良くなってみんなのキップが良くなるのが先かわからないけれど、誰もが損せず満足できる仕組みができるといいなぁ。

 

 

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

 

 

人を選ぶとき

選挙期間が始まると、選挙用ポスターの掲示板が立てられる。そこに立候補者のポスターが貼られて、「あー、選挙だなー」と思う。

 

選挙では、政策や実行してきたことなどで投票する人を選ぶのがいいと考えている。しかし、ポスターで一番目立つのは候補者の顔。そして名前。

選挙期間中は選挙カーが街中を走っている。そこに書かれてるのは候補者の名前で、スピーカーから流れる主な言葉も名前。

 

最近はYahoo!などが、選択肢に答えていくと「あなたの考えに近いのはこの政党!」というのを教えてくれるサイトを作っていたりするが、そういうのを利用しないとすると、すべての候補者の街頭演説を聞いていく方法ということになりそう。

 

過去の歴史においても、今のところも、ずっと長いことだいたい人を見た目で選んでそうだなーと思った。

 

 

やっぱり見た目が9割 (新潮新書)

やっぱり見た目が9割 (新潮新書)

 

 

道を歩いていて出くわしたこと

道を歩いていると、向こうから松葉杖をついた初老の男性がゆっくりやってきた。僕は道のど真ん中を歩いているわけでもなかったのだけど、7-8m向こうにいる頃から「どけ!邪魔だ!」と大きな声で言われ、通り過ぎた後も何か言い続けてた。

僕は(厄介だな)と思って、目を合わさずに足早にそこから立ち去った。

 

後でふと考えてみた。もし自分が小学校の先生で、子供から聞かれたらなんて答えるのが「先生的な正解」なんだろう?しかも、その初老の男性がクラスの子供の家族だったら、どういう話をするんだろう?

 

物事の良い悪いの話は当然ある。でも、情報を遮断した方が判断までのコストが小さくて、いろんなことを考慮した方がコストがかかることは多そうだ。だから、遮断して閉じこもってしまう方への圧力がかかってしまうことは、仕方がないのかもしれない。

 

せっかく未来に来てるんだし、いろんなことを考慮した方がコストがかからない方法があると良いのになあ。