ニュースは何を伝えているつもりで、我々は何を受け取ってるつもりなのか問題
アメリカで起きた、警察官による黒人男性への発砲事件。
これを伝える記事が掲載されていた。
こちらは、NHK NEWS WEBの記事。
記事で伝えたい主題は、タイトルを見る限り「映像が公開されたことによって、アメリカ社会に何かしらの動きが出ている」ということのようだ。
中の記事を読んでみる。
映像の内容と警察の発表内容について説明している。そして、最後の部分では次のように書かれている。
アメリカでは警察官による黒人の射殺事件が相次ぎ、黒人を中心に強い反発が広がっていて、今回の映像も警察の対応に問題があるとして全米のメディアが大きく伝えるなど波紋が広がっています。
「波紋が広がっている」という言葉の前に「黒人を中心に強い反発が広がっていて」と書かれていることもあり、街でデモが起きるなどの出来事につながっているかのように想像してしまう。
しかし改めて整理すると、「黒人を中心とした反発が広がっていて」というのは、相次ぐ射殺事件に対する反応である。同じ "広がる" という言葉が使われているのでひきづられてしまうが、この映像公開に関してはあくまでも
インターネット上に公開 → 全米のメディアが伝える
ということしか書かれていない。波紋とは "メディアが取り上げたこと" を指しているように読める。
(伝える "など" と書かれているが、他の "広がり" は不明)
「大きく伝える」という部分も同様で、TVのTOPニュースになっていたり、新聞の1面を飾っているかのように勝手に想像してしまうが、これについては何も書かれていない。
読み手が想像したとおりのことが実際に起きているのかもしれないし、そうではないのかもしれない。あまり掘り下げられていないため、タイトルを読んだ時に受けた印象以上にはほぼ何もわからない。
一方、同じ事件について、BBC NEWS JAPANは次のように伝えていた。
こちらは、「無抵抗の療法士が、警官に撃たれた」という事件そのものを主題としている。
中の記事では、撃たれた側の主張と撃った側の主張をそれぞれ載せ、最後は該当警官が謹慎処分を受けているという結果が書かれている。主題に即した内容が、本文で掘り下げられている。
2つの記事は切り口が違うので伝える内容が異なるのは当然だが、BBCの記事にはNHKの記事のようなふわっとした表現はない。
これらの記事を読んでみて、普段の生活において、慣用句につられて聞き流したり読み流していることが多いのではないかと不安になった。ニュースは何を伝えているつもりで、我々は何を受け止めてるつもりになっているんだろうか?我々は、空気を読みすぎているんじゃないだろうか?
NHKとBBCのように国が異なる例だったが、たまたま取り上げた記事の書き方の問題であって、国による違いでないと良いのだが・・・。
※7/26 誤字を修正しました。ご指摘ありがとうございます。