雑記Rogue

書くたび言うことが変わる不思議ダンジョン

これを「当然」にしてはいけないんじゃないか問題。

佐川国税庁長官が辞任したニュースについてのこの記事。

www.asahi.com

「佐川氏が辞めたからといって、一連の疑惑は解明されてないのだからこれで幕引きじゃない」という趣旨の記事なのだが、その冒頭にこう書かれていた。

辞任は当然である。 

 

しかし、これを「当然」としてはいけないと思う。

 

というのも、政府は虚偽の答弁はしていないし適材適所だと太鼓判を押していて、そのことは撤回していないのに次のように処分をした。

「国有財産行政に関する信頼を損なったことを踏まえ、減給20%、3か月の懲戒処分を実施する」

www3.nhk.or.jp

 

罪があったからではなく、疑われたから処分の対象だと言っているのだ。しかも繰り返し、きちんとした仕事ぶりで適材適所だと言い続けていた。これを前例として認めてしまうと、一方的に誤解され非難された人も処分されてしかるべきと言う話になってしまう。

 

まずは何が悪かったのかを明確にして、合意し、その上で処分や辞任を認めるべきだ。このプロセスを踏まずに「当然」としてしまうのは、とても危険な行為のように思う。

議論の周回遅れによる対立は、AI(とか)で解決してくれたりするんじゃないか問題

昔、あるグループの中に「物知り」と言われている人がいた。その人は色々な豆知識を披露してくれていたのだけど、ある時「ジーンズのEDWINは、"江戸が勝つ"から付けられたんだ」という話をしていた。

僕はたまたまそれについて聞いたことがあったので、「そういう話もあるようですけど、本当は素材のデニム(DENIM)の文字の入れ替えとかで付けられたらしいですよ」と言った。するとその人は「そんな話は聞いたことがない」とムッとし、周りにいた人もやっぱりXXさんは物知りだなーって話で終わった。

のちにふとWikipediawを見たら、 "「江戸」が「勝つ」(WIN)という説は俗説」" と書かれていた。

 

 

最近、TV番組での演出やある人の告白が、差別表現なのかどうかとかで議論になったりするのをよく目にする。それぞれの考えや主張がtwitterやブログで飛び交っているのだけど、そのやりとりを眺めている時に "周回遅れ問題" を感じることがある。

 

ある問題をきっかけにして議論が起こったとき、なんやかんやいろんな方面からの意見が出る。さんざん話をした挙句、実は間違った情報を元にしていたとか、そこから話が展開して別のレイヤーの話に移って行ったりとかして、なんらかの決着を迎える。

このような一連の経過をたどった人は、最初の問題に対する発言を別のタイミングで聞くと、「その話はもう決着しただろ!」と思う。逆に初めてその問題に触れた人からすると、「そんなことがあったとか知らんし!」と思うのは当たり前。こうしたいきなりの対立モードのために、ただただ無意味に煙が立ち上り続ける。

 

単に自分が注目しだしたからっていうだけの話かもしれないけれど、こういう前提知識のズレによる対立構造を最近よく感じるのだ。

 

もちろん昔から周回遅れの議論なんてものはあった。しかし、同じことに着目している人が出会って議論が深めやすいネットの仕組みができたことによって、モノによっては何周もズレる事態が生まれやすくなっているように思うのだ。

"有名人の発言" というイベントが起きると、普段はなかなか出会わない人同士がいろんなワードをたどって参入して入り乱れ、このズレによる場外乱闘が起きてしまう。

 

 

このような ”周回遅れによって生じる対立" をなくすためには、その場にいる人の前提知識を揃えるしかない。前提が揃った上で意見が交わせたら、議論が先に進むことができる。

こういう場面で「以前こういうことがあって、その結果こういう話になって〜」と説明してくれる人が現れることもあるけれど、いつでも誰かの優しさに期待するのは難しい。多くの人に届けるという意味ではマスメディアがその役割を担うのが良さそうだけど、今のマネタイズ方法で進む限りこれも難しそうだ。

 

そこで僕は期待と楽観を込めて、AIやらOSSやら的な何かが登場してくれたら・・・と思っている。記事やらツイートやらを見てる時に、前提知識になりそうなものを集めてきて提示してくれたりするっていう仕組み。

自分の知識に合わせたわかりやすい言葉で説明したり、マンガ形式で吹き出しに入れてくれたりしたらとても嬉しい。口調や見かけのカスタマイズがしやすければ、その方面で稼ぎたい人にも場が提供されたり!?

 

 

そういえば、最初の "EDWINの由来" について改めてググったら、こういう記事を見つけた。

js.cotoz.info

自分が何周目にいるのかなんて、誰にもわからない。

 

 

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)
 

 

立憲民主党が選挙後にやるべきことはこれなんじゃないか問題

選挙が終わったら、他の党へ行っていたり無所属だったりした人たちが集まってくるだろう。全く別のところから、主張に共鳴して参加をしてくる人もいるかもしれない。
 
党の主張からしても彼らを拒まないと思うが、さすがにどんな人でもOKということではなく、
・ルールを尊重し
・多様性を認め
・議論をする
こういった価値観を共有できる人が集まることになるのだろう。
 
しかしこうしてしまうと、細かな事柄に対して多様な考えが党内に生まれるはずだ。 
個人の考えと党としての方針が違うこともあるだろうし、そもそも全ての議員の考えが全く同じということはありえない。それなのにある立場になった途端主張を覆すようにみえれば、その人はもちろん党も信用を得にくくなる。
 
だから、「党としての主張が何か」という結論だけを発信していてはダメだ。この価値観を実行するのであれば、党内で誰がどういう意見を述べて、どのように検討され、どのような理由で判断されたのかという「議論の過程」をオープンにする必要がある。
 
これこそが、この勢いを続けていけるかどうかを握っているように思う。

0か1かになり過ぎなんじゃないか 問題

今日、たまたまこの2つのニュースが流れていた。

headlines.yahoo.co.jp

headlines.yahoo.co.jp

 

「グレー」よりも「白黒はっきりつける」方が気持ちが良い。だから「いい人」か「悪い人」かで判断したがる。境界を超えた人は皆「悪人」としてひとまとめにされる。

そして誰かが言うだろう。「悪いことをしたやつが口答えするな!」

 

「悪い」と判断された場合、程度に合わせた行動をとるには難しい判断が必要だ。難しい判断だからこそ、その結果が適切かどうかが全会一致で決まることはない。

そして誰かが言うだろう。「みんながそれで納得すると思う?」

 

共通しているのは、2値化。本来はグラデーションのようにぼやけているはずなのに、あるところを超えた時点で、何もかもが別の理屈が適用されてしまう。全ての判断が0か1になっていく。

 

それが適切なのかどうかは、勢いを止めてから考えたい。

 

安倍政権の支持率が安定していたのは、「コスパ思考」にマッチしてるからなんじゃないか 問題

内閣支持率が10%低下したという報道があった。

mainichi.jp

「中間報告」で改正組織犯罪処罰法が成立し、国会が閉会した直後の調査のようだ。「過去の政権なら吹っ飛んでる」と言われた様々な疑惑や失言などがいくつも出た国会だったが、政権は維持されたまま支持率が10%下がって終わった。

 

なぜ支持率が下がらないのか?という話をよく目にするが、自分としては「コスパ」と関係があるのではないかと思っている。

 

最初に断っておくが、これは善悪とは関係がない。また金銭的なことではなく、あくまで「受け手にかかる労力の少なさ」という意味で「コスパ」という言葉を使うことにする。

これが安倍政権とどう関係があるのか。いくつか例をあげてみたい。

 

サクッと内容把握したい

例えば先日の安倍総理の答弁の書き起こし記事。

加計学園問題の原点:安倍首相の3月13日の参院予算委での答弁を分析する(渡辺輝人) - 個人 - Yahoo!ニュース

この記事を見た人のうち、どれくらいの割合で安倍総理部分の文字を読み切っただろうか。文字だから読まないだけで、中継動画だったら見るのだろうか?おそらく多くの人は動画を最後まで見ないし、文字起こしでも読み飛ばしてしまうんじゃないかと思う。きちんとやりとりを追っていけば会話が成り立っていないとわかると思うのだが、報道された記事では例えばこうなっている。

安倍首相、友人理事長への便宜否定=加計学園の獣医学部開設:時事ドットコム

記事本文では短い文章でやりとりとして記されているが、それは会話が成立した部分のみだ。記事本文を読まずタイトルしか読まなかった場合は、「便宜を否定」という言葉だけが伝わることになる。

 

経緯はいいから結論を知りたい

森友問題や加計学園問題に関しては、「なぜ特定の団体に有利なルールが作られたのか?」という疑惑だが、ある結論にたどり着くまでの長い経緯を紐解かなくてはならない。しかも、通常はどのようにルールが作られるのか?という知識が必要になるが、多くの人は知らないだろう。「知らないルールを知るのにかける労力」を、一体どれくらいの人がかけるだろうか。そんなことはいいから結論だけ教えてくれ!となるだろう。

この疑惑の場合、「作られたルール」を元に判定すると「ルールに則って選ばれている」という話になれば、疑惑自体がどこかに消えてしまう。

 

何を言ってるか?ではなく、誰が言ったかで判断したい

例えば国連特別報告者から指摘を受けた時の対応を振り返ってみる。

プライバシー制約の恐れ 国連報告者、政府に書簡

多くの人は「国連」はわかっても「特別報告者ってなんだ?」となるだろう。しかも指摘の内容は「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と懸念を示すもので、抽象的な話になっていく。内容をきっちり理解するのは大変だ。

これに対して菅官房長官は、あくまでも「個人」であることを強調し「何か背景があるのでは」と述べた。

ケナタッチ氏反論に不快感 「何か背景あるのでは」菅義偉官房長官 - 産経ニュース

つまり「発言者は注目に値しない」と言う主張をすることで、前提や発言内容の理解を不要にしたのだ。その人が怪しいかどうかで内容を理解する手間が省けるなら、これはコスパが良い。

同じ手法は、前川元次官の記者会見時にも用いられた。

 

興味がない話を理解するのは面倒くさい

自分に関係があったり興味がある話ならばともかく、自分に関係がなく興味もない話を聞かされるのは苦痛だろう。しかもそれを理解するのはモチベーションも湧きにくい。そんなとき、ゴシップのような興味を持ちやすいネタや、すでに知っている話を強化するようなものは、理解にかかるコストが低くなると思われる。こうして一度手に入れた説は強化され続ける。政権支持の理由として上がる「他より良さそう」というのも、「他がどんなのか知るにはコストがかかる」というのもあるのではないだろうか。

 

 

 

このようにコスパを求める思考では「なんかぐちゃぐちゃ言ってる野党やマスコミ」よりも「印象操作されている」とか「その指摘は全く当たらない」とだけ答えてくれる与党の話が理解しやすいのではないだろうか。

 

 

 

ところでNHKの調査によると、政権の不支持の理由のトップに「人柄が信用できない」というのが出てきたようだ。いろんな場面で「疑惑」という言葉が目につくようになってきて、一番とっつきやすい「人物に疑惑がある」というところに結びつき始めたのではないだろうか。

これは政権が仕掛けてきた「信用できない人物の話は聞かなくて良い」というアプローチと合致してしまう。これを覆すには信用させるための説明を繰り出していくことになるが、長い説明はもとより届かないので何か考えなくてはならないだろう。

 

この状況でコスパ思考にマッチする人物がいるとするなら、「政策について新たに知らなくても良い今と同じ自民党」で「信用できそうなエピソード」を持ち、「怪しい人に対して簡潔にダメ出しをできる人」ということになるのかもしれない。

 

 

まんがでわかる 伝え方が9割

まんがでわかる 伝え方が9割

 

 

政府の問題解決方法は何なのか 問題

先日の文科省での再調査を受けて、内閣府で調査した結果が公表された。

www3.nhk.or.jp

記者会見の第一報のためなのか、発言をそのまま時系列で書き起こしているためなのかわからないが、誰の認識なのか何が推測なのかがはっきりしなかった。

そこで、改めて情報を整理してみた。

 

調査内容

この記事では明確になってなかったが、以下の記事では記述されていた。

【加計学園】内閣府再調査で8種類の文書確認 「総理のご意向」などの発言確認できず - 産経ニュース

・「総理のご意向」などと記された文書の存在について

 

見つかったもの

内閣府で、文部科学省が公表した文書のうち、萩生田官房副長官の関与を指摘するメールを含む8種類の文書などが確認された。

 

内閣府の主張

文部科学省に対して『官邸の最高レベルが言っている』とか『総理のご意向』などと伝えてない。

・総理から意向などの指示はなかった

・萩生田官房副長官の関与を指摘するメールは、国家戦略特区担当ではない文部科学省から内閣府に出向してきている職員が書いた。

 

山本地方創生担当大臣の主張

安倍総理大臣の『スピード感を持って規制改革を断行するように』という発言を、文部科学省が受け止めて書いた。

・メールを書いた職員は『課内で飛び交っている話を聞き、確認しないまま書いた』と話している。

・萩生田官房副長官の関与を指摘するメールを書いた職員は、ある意味で隠れて親元に報告していた。

・私の判断で『獣医学部は存在しない地域に限る』という原案を示した。

一応調査は尽くした。

 

 

今回の問題は「どのような経緯で加計学園に決まったのか」を巡る話だったと思うのだが、日本の政府の問題解決方法は「総理のご意向」というキーワードで文書を探すことという事がわかった。

 

なお、これによれば山本大臣が獣医学部は存在しない地域に限る』という条件を足しており、なぜ唐突に個人の判断が加わったのかという疑問が生まれているように感じるが、調査の目的ではないので調べていないのかもしれない。

 

 

世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく

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自分にとっては、滝沢カレンの文章よりも新聞記事の方が読みにくいんじゃないか 問題

文章の読みにくさは構文構造の並列度と関係があるのかも?という、面白い視点の記事があった。

qiita.com

いろんな文章を実際に解析してみるというのは、とても興味深く読ませてもらった。ただ「普通の文章」として引用されている文章も、自分にとっては相当読みにくく感じる。そこで、自分なりの読みやすさは何かを探ってみることにした。

 

 

まず滝沢カレンさんのテキスト。元記事で引用されているのはこの投稿だ。

 

改行がないことも頭に入ってきにくい原因なんではないか?そう思って、改行を入れてみた。一部を引用してみる。

人の気持ちをあそこまでざわつかせる一文があったなんて、まさかあの一文で私の気持ちがざわつくなんて、どちらをとっても25歳への道を無理やりにでも引き伸ばしたような幸せいっぱいの気持ちになった瞬間を今でも忘れません☺️💋

脱力タイムズの声付け役を始めてから、まだなんの日数もたっていないフワフワの今、誕生日を覚えて頂けてることも嬉しいですが、わざわざ紙にまであんた大々的に書かれていることが、嬉しくてたまらなかった私がいました😌☘️🌟🎶

ふと振り向くと、たくさんの味方がいてたくさんの優しい人間がいることを、わざわざ自分の誕生日が来ないと気付けない自分を奮い立たせながらも、毎日こんな、湖のようななんの引っ掛かりもない、落ちつき倒し、音一つも感じさせない人間でいれる方に憧れを持てたとある25歳の眩しき朝のことでした🏝🌞 ・

 最後の1文は長いのだけど、元の状態よりは随分頭に入ってきやすくなった印象がある。文章自体は、読点ごとに理解しつつメモリから破棄していけば最後までたどり着けるので、何を言いたいのかはわかった。

 

 

一方、普通の文章として使われたニュース記事。検索してみると、元はこの記事のようだ。

災害不明者の氏名公表、自治体の7割「基準なし」:朝日新聞デジタル

 こちらの記事から、同じくらいの文字数だけ引用してみる。

全国47都道府県と20の政令指定都市のうち、災害時の行方不明者の氏名公表について、基準を設けていない自治体が7割に上ることがわかった。改正個人情報保護法の30日施行に合わせ、朝日新聞が各自治体にアンケートした。氏名を「公表しない」という回答も5自治体あった。

不明者の氏名公表については自治体によって判断が異なり、公表しないことで安否確認に時間がかかったり混乱を招いたりしたことがあった。

基準を設けているのは栃木県、鳥取県高知県横浜市相模原市静岡市の6自治体。栃木県は「県審査会の意見」、鳥取県は「県地域防災計画の個人情報の取り扱い方針」にそれぞれ照らして判断するという。一方、「災害ごとに対応を検討する」といった理由で基準を「設けていない」との回答が48自治体。「その他」が13自治体だった。

 

1文だけみるとまとまっているように見えるのだが、キーワードとなる単語があちこちに飛ぶためか、全体としては何を言っているのかあまり意味が入ってこない。意味を保持したまま、読み進めたりする必要があるからかもしれない。

 

そこで、この文章を自分が理解しやすい書き方にしてみた。

 

改正個人情報保護法の30日施行に合わせ、朝日新聞は各自治体に対して災害時の行方不明者の氏名公表についてのアンケートをおこなった。その結果、全国47都道府県と20の政令指定都市のうち、基準を設けていない自治体が7割に上ることがわかった。

基準を設けているのは栃木県、鳥取県高知県横浜市相模原市静岡市の6自治体。栃木県と鳥取県はそれぞれ「県審査会の意見」「県地域防災計画の個人情報の取り扱い方針」に照らして判断するという。
一方、「災害ごとに対応を検討する」といった理由で基準を「設けていない」と回答したのは、48自治体。「その他」は13自治体、「氏名を公表しない」は5自治体あった。

不明者の氏名を公表するかどうかは自治体によって判断が異なり、公表しないことで安否確認に時間がかかったり混乱を招いたりしたことがあった。

 

ちなみに、引用部分だけでは何を「基準」と呼んでいるのかよくわからなかったのだが、元記事をよく読むと「公表しない」と決めている自治体が「基準を設けている自治体」に含まれていなかった。このことから、正確には”公表の”基準についてであることがわかった。

 

2つは、目的が異なる文章だ。そのため単純に比較することは難しい。また、元の記事も「言語解析によって読みやすい文章の違いは出るのか?」という趣旨だと思うのでそれからは外れてしまったが、自分にとっての読みやすさとは何かを考える機会になった。

 

 

言いたいことが伝わる 上手な文章の書き方

言いたいことが伝わる 上手な文章の書き方